約30年にわたりロボット技術の発展を支える学術会議
ロボティクスシンポジアは、日本のロボット技術の発展を牽引する最先端の研究発表と議論の場として、1996年にその歴史をスタートさせました。時代とともにその研究テーマは大きく広がり、現在ではAI、機械学習、自律移動ロボット、農業ロボット、フィールドロボット、自動化建機、身体拡張など幅広い分野をカバーしています。
本学会の大きな特徴は、単なる研究発表の場にとどまらず、学術界と産業界が密接に連携し、実社会への技術応用を強く意識した議論が行われる点です。毎年、研究者、企業関係者が一堂に会し、新たな技術革新の可能性を探る場として、その役割を果たし続けています。
80を超える研究成果が発表される、熱意あふれるセッションの数々
2025年3月18日・19日には、第30回の節目となるロボティクスシンポジアが愛媛県で開催されました。本年は80を超える研究成果が発表され、各セッションでは活発な議論が展開され、スポンサーとして参加したTORCHメンバーにとっても、研究者の熱意と研究の深化が強く感じられる2日間となりました。
特筆すべき点は、議論が日付が変わる近くまで行われるオーバーナイトセッションにまで及ぶことです。教職者、学生、企業関係者などの立場に関係なくフラットにデスカッションが行われる環境はロボティクスシンポジアならではのものです。
TORCHとしても、こうした熱量があり立場を超えて侃侃諤諤の議論が交わされるオープンなコミュニティのあり方に強く共感しており、その活動を応援したいという想いから、スポンサーとして支援を続けています。

ロボット技術の未来を見据えた30回記念イベントも
本年度の特別企画として、第30回記念プレゼンテーションが行われました。「~未来の回顧録~ 未来のノーベルロボット学賞の受賞者を募集します」と題されたこの企画は、今から30年後に実現しているであろうロボティクス技術やそれを活用した社会の姿を、若手研究者が大胆に“夢”として予測するという趣旨で行われました。講演者は、世界的な業績を上げ、30年後にノーベルロボット学賞を受賞した研究者として“引退記念講演”を行うというユニークな設定のもと、発表を行うという企画でした。
研究者が日々の研究に没頭する先に、どのような未来を思い描いているのか——そのビジョンを垣間見ることができた非常に興味深い内容であり、なぜ彼らが自ら掲げたテーマにこれほどまでの情熱と時間を注げるのか、そのモチベーションの源泉が感じられる瞬間でもありました。
中でも印象的だったのは、老舗旅館の「能」舞台を活用した演出です。伝統的な日本文化と未来のロボティクス技術のアイデアが交わるその空間は、文化と技術が一つながりであるものだというメッセージを象徴的に伝えているようで、多くの参加者の心に深い印象を残しました。

キャリア支援を通じロボティクス業界への貢献も目指すTORCH
ロボティクスシンポジアは、これまでロボット技術の基盤を築く研究を支えてきました。今後はさらに多様な分野において、社会課題の解決に資する技術へと進化していくことが期待されています。
今回の学会を通じて、普段はなかなか実感しづらい「夢のような未来」に向けて真剣に研究へ取り組む皆様の熱意に触れ、私たちTORCHにとっても、どのように業界に貢献していけるのかを改めて考える貴重な機会となりました。ロボティクスシンポジアの歴史を振り返りながら、今後の技術革新と社会実装の加速に向け、業界で研鑽を積む皆様のキャリア支援を通じて、私たちも引き続き貢献してまいります。
